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「幸せ」を考える⑦

〜 とある医師のつぶやき 〜

前回「『幸せになる技術』とは『物事の認識を調整する技術』である」とお話しさせて頂きました。
今回はその詳細、7回に渡ってお送りした「幸せ」を考えるお話の最終回です。

・具体的に、どうすれば認識を調整できるの?

伝統的に表現するなら、太極図(下)でしょう。

太極図は、陰陽五行の中心となる概念を表す図です。
物事の全てが白だけ、黒だけということはなく、互いに配分を変えながら入り混じっていて、且つ白の中にも黒が、黒の中にも白があるということを示しています。

ことわざでも、「薬も過ぎれば毒」の様に良いものと悪いものが表裏一体であったり、「善は急げ vs. 急がば回れ」などの様に相反するものがどちらも正しかったりすることが見られます。

実生活でも、例えば人と話すときには「正直が良い」「嘘は悪い」と単純に認識しがちですが、「馬鹿正直」「無神経」の様に「正直であることが良くない」場合もあれば、「噓も方便」「気遣い」として「嘘をつくことが悪くない」場合もあるでしょう。
一つの話の中でも、ちょっと省略したり、逆にちょっと盛ったり(どちらも正しい事実ではない、つまり「嘘」)することで、話がスムーズだったり楽しかったりする場合があります。

この様に全ての出来事、全ての人や物にも、必ず良い面と悪い面が存在しており、それを見抜くことが出来れば、心が苦しみのみに支配されてしまうことがなくなります。
また自分が良いと思うものに目を向ければ、どの様な局面においても「心がそれを苦痛であると捉えなくなる」という訳です。

・もう少し学術的に表現すると?

「話は、意図としては理解できる。でも、何となく宗教っぽいというか、精神論っぽく感じる」という方もいらっしゃるでしょうか?

ですがこれは歴とした「技術」であり、学術的に表現するなら
事象を多角的・客観的に観察して分析し、有用な情報を選択して抽出する技術」
と表現することが出来ます。

いかがでしょう?
何となく説得力が増したのではないでしょうか。

「観察」「分析」「抽出」…何とも科学的ですよね。
これを、人は何千年も前から教え続けているのです。

・でも今更…

この記事を読んで頂いている方の中には、
「自分はもうそれなりの歳だ。今更技術がどうとか世界を変えるとか言われても…」
とお考えの方もいらっしゃるかも知れません。

確かに、体の方はある程度の年齢以降どうしても衰えて行くでしょうし、何らかの訓練を行なったとしても漫画の様に急に進化したりはしないでしょう。

でも、心は死ぬまで進化し続けることが出来ますし、成長の速度も時間に縛られません。
「ある日急に化ける」こともあるのです。

「今日が人生で一番若い日」という言葉もあります。

今日から、少しずつ自分の世界を変えてみませんか?