〜悩める方々が歩む、「自分を救う」道〜
私の診察には様々な方が訪れます。
その一人ひとりに向き合い、お手伝いをさせて頂くのですが、時に驚くほど「修行僧」然とした方に出会うことがあります。
これは、そんな方々のお話第二弾です。
・診察はもはや禅問答!?悟りを開いていくかの様なBさん
初めて私の診察室に来た頃、眉根が強く寄っていたBさん。
辛い症状に漢方薬がとても良く効いた様で、色々と興味を持ってお話を聞いて下さいました。
その中で認識の調整に関するお話もさせて頂いたのですが、毎回話しているこちらが嬉しくなるくらい熱心に、リアクション豊かに聞きながら、
「こんなことがあった、これはつまりこういう捉え方をすればいいのか」
「この前の話は、つまり自分の今の状況だとこんな風になるんじゃないかと考えたんだが、どうか」
など自分の力で咀嚼し、今の生活に活かしていこうという意欲が際立っていました。
診察室での会話は、医師と患者というよりもはや住職と修行僧です。
次第に自分の力で日常の出来事を消化出来ることが増え、新たに仕事を始めるに至ったBさんでしたが、そこでパワハラとしか言い様のない扱いに直面しました。
それでもBさんはしばらくの間、認識の調整を試みながら働き続けたのですが、「その職場で働く」ということと「自分の幸せ」をきちんと天秤にかけ、最終的にその仕事を辞めて別の仕事を始めます。
新しい職場で楽しく働いていたBさんが、ある時診察室で私にこう切り出しました。
「先生。私色々考えて、今年一番良かったなぁって思うのが…」
私は咄嗟に「思い切ってパワハラの職場を辞め、新しい職場に移ったこと」かな、と思いました。
しかし、何とBさんはこう続けたのです。
「あのパワハラ上司に遭ったことだなぁって思うんです」
後編へ続く!