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「イガグリ」理論②

〜 受け取る力と双璧をなす力の話 〜

前回、「あなたに栗を渡したい、何なら『今夜は栗が食べたい』と伝えたいためだけにイガグリを投げつける」ようなコミュニケーションがあるのだということ、そして人はついイガグリを正面から受け止めがちだというお話をさせて頂きました。

今回はその詳細と解決法です。

・「イガグリ」はかなり一般的にみられる

「イガグリ」を投げつけるコミュニケーション。

「いやいや、そんな人稀でしょ?」

とお感じでしょうか?
でも、例えば「弱い犬ほど良く吠える」という諺があります。

キャンキャンと攻撃的に吠え散らかす「弱い犬」の本心は、
「いじめないで」
「怖いことしないで」
「僕を大事にして」
などです。

様々な気持ちを「攻撃で誤魔化してしまう」んですね。

特に「上手に言葉にすることが苦手な人」ほど、攻撃に頼ってしまうことは(その攻撃が自分に向かう場合も含め)多くなりがちで、そのため例えば子どもとのコミュニケーションにおいては「イガグリ」がかなり頻繁に見られますし、私たちは日常的に「イガグリ」に触れてはいるのです。

でも、「夜なに食べたい?」って聞いただけでイガグリを投げつけられる方はたまりません。
運が悪ければ、「偶然割り振られたキャッチボール相手が、最初からイガグリしか投げない」こともあるのです。

そんな時に思い出すべきが、前回の③の対応なのです。

・向き合うけど、受け止めない。

前回の記事で、イガグリを投げられた時には下の4つの対応があり、人間関係では①や②が多く、時に④すらあるのだと申し上げました。

①気づかずに手で受け止める
②異変に気づき、反射的に目をつぶって体を縮こまらせる
③異変に気づき、咄嗟に避ける
④「全てを受け止める」と両手を広げて待つ

でも、③以外の対応ではどんどん傷つき、間も無く「何故自分がこんな目に遭わなければならないのか」と悲しみや失望に襲われてしまうでしょう。

しかも相手は「『栗を食べたい』と相手に理解されるという目的を果たしていない」のだから、イガグリを投げるのを止められない。
何なら、
「相手に伝えられない自分に失望」
「わかってくれない相手に失望」
「相手が血を流していることへの罪悪感」
その他諸々の陰性感情を、「全て攻撃性で誤魔化す」ためにむしろイガグリがどんどん増えることすらあります。

これではお互いに辛いばかりですよね。

だから、ここで必要なのが③。
「受け止めない力」なのです。

以前に「受け取る力」のお話をさせて頂きましたが、今回はそれと双璧をなす力です(何でも陰陽になっていますね)。

「受け止めない」ことにより、
・自分の傷つきを防ぐことが出来る
・傷つかないので、相手に向き合い続けることが出来る
・観察の余裕も出来る
のです。

結果として
「相手があえてイガグリを選んでいる」ことに気づき、
「会話の流れから、もしかしてこれは食べたいものを示しているのでは?」と気づく
ことが可能になるのです。

つまり「受け止めない力」は自分を守るだけではなく、
・相手の「伝えたいこと」をちゃんと受け取ることが出来る
・相手がこれ以上、自分にもあなたにも陰性感情を抱かずに済む
など、「相手のためにも重要」なのです。

キャッチボールをしているのだから、と「相手が投げてくるものを誠実に受け止め続ける」必要はありません。

③へ続く。