blog

「イガグリ」理論③

〜 受け取る力と双璧をなす力の話 〜

前回、イガグリを投げつけられた時は「受け止めない力」が必要だというお話をさせて頂きました。

今回は「受け止めないコミュニケーション」の実務的なお話です。

・まずは「観察」。とにかく観察大事。

以前の記事でも「観察」「分析」「抽出」の重要性をお話ししましたが、今回もまさにその技術を使います。

当然ながら、「イガグリ」が混ざるキャッチボールにおいては
①「相手がどんなものを投げようとしているのか」「どんなフォームで投げてくるか」などを先ず観察
②「イガグリを投げてくるのではないか」と予測がついた時や、ボールを見たら明らかに何か違うと気づいた時には素早く避けて、地面に落ちたものをまた観察
③それがやはりイガグリだ、と確認出来たら、素早く①に戻る
を繰り返すことになります。

観察が出来なければ、イガグリを手や体で受け止め続けることになってしまうので、とにかく観察が最優先になります。

・情報の「分析」。ここに、余裕が必要

目の前の様々な状況を「観察」出来たら、次はその情報を「分析」していきます。
例えば、前段落の観察だけでも

「他に投げるものがあるのに、イガグリだけをわざわざ選んでいる様子がある…『痛めつけたい』のではなく、『イガグリを投げたい』のか」
「大声をあげて威嚇している様なのに、遠くから投げるばかりで近づいてこない。怖がっている?それとも、直接殴りかかりたくない?」
「そういえば、イガグリを投げ始めたのは『夜に何を食べたいか』訊いた後からではないか?」

などの「分析」が可能になってくる訳です。
ただ、ここに一番苦労することが多いようです。

なにしろ、相手はイガグリを投げ続けている。
最初に受け止めてしまったところの傷は痛い。
ちょっと避け損なっただけでまた新しい傷が増える。
なので、もう避けるのに必死。

この状態で思考を巡らせるのは容易なことではありません。
だから、「これはムリだ」と諦めてしまいがちになります。

でも、これを「菩薩理論」や「割引理論」で考えてください。

今すぐ出来なくていいんです。
そんなの当たり前なんです。

だって、「ただ歩くだけ」のことですら、分解したら大変な連続作業なんですよ?

片足を上げる。
その際重心が崩れて倒れるのを防ぐために反対側に重心を寄せる。
自分の進行方向を見ながら、しかし同時に足元に障害物や穴がないことを確認しつつ、体を前方に出して重心が前に動くのに合わせて上げた足を前に下ろす。
さらに重心を前に進めて下ろした足に完全に体重を乗せて逆の足を上げ…

こんな複雑な作業を「無意識に」行なえる様になるまで、一体どれだけ「諦めることなく練習し続けた」のでしょう?

「イガグリを避ける」のも、続けていくことで少しずつ上手になってきます。
上手に避けられる様になれば、余裕が生まれて来ます。
そうすれば、分析もそれだけしやすくなってくるのです。

何よりも先ず、あなたのために。
結果的には、相手のために。

少しずつ、「観察」と「分析」を進めてみましょう。